2017年8月30日水曜日

8月15日付医薬品承認情報 ~トラセミド~

 今回は寿製薬が承認を取得したトラセミド(ブランド名:ルプラック®錠 – 大正富山医薬品/田辺三菱製薬)について分析します。

トラセミドの先発品情報

有効成分
一般名:トラセミド
効能・効果
心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫
剤形・規格
ルプラック®錠4mg(1999年8月薬価収載)
ルプラック®錠8mg(1999年8月薬価収載)
製造販売元
田辺三菱製薬(発売 大正富山医薬品)


トラセミドの基本特許








 トラセミドの基本特許(物質特許)を検索しましたが、日本ではそれらしいものが見つかりませんでした。GB1477664Aにトラセミドに該当する化合物がクレームされていたので、日本の対応特許を引いてみたところ、日本では製法特許として登録されていました(特許1275160)。1976年の物質特許制度導入前の出願だったため、製法特許として権利化されたと思われます。

寿製薬のトラセミドはAG?


 今回、承認されたのは寿製薬のトラセミド錠4mg・8mg「KO」のみでした。しかし、以下の理由から、トラセミド錠4mg・8mg「KO」はルプラック®錠4mg・8mgのオーソライズド・ジェネリック(AG)に該当しないと考えられます。


生物学的同等性試験(BE試験)


 AGの場合、先発品のデータを活用し、BE試験を行わないケースが多いですが、トラセミド錠4mg・8mg「KO」の添付文書を確認したところ、BE試験が行われていました。

なぜ今、寿製薬1社なのか?


 再審査期間と基本特許からは、早ければ2006年12月にはトラセミドに参入できると考えられます。何か参入の妨げになるような特許があったのか検索しましたが、これといったものは見つかりませんでした。
 また、大正製薬の決算情報では、ルプラック®錠の売上は20億程度で減少傾向にあります。残念ながら、あえて今になって寿製薬が参入した理由は分析できませんでした。

 次回はモメタゾン点鼻液について分析します。

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