2017年8月29日火曜日

8月15日付医薬品承認情報 ~テモゾロミド~

 今回は日本化薬が承認を取得したテモゾロミドについて分析します。

テモゾロミドの先発品情報

有効成分
一般名:テモゾロミド
効能・効果
悪性神経膠腫
剤形・規格
テモダール®カプセル20mg(2006年9月薬価収載)
テモダール®カプセル100(2006年9月薬価収載)
製造販売元
MSD

テモゾロミドの基本特許


 テモゾロミドの基本特許は以下の通り。





 

 
 テモゾロミドの物質特許(特許1723491)は既に満了しでおり、再審査期間が2016年7月15日に終了したため、2016年8月申請~2017年8月承認となったと考えられます。

日本化薬のテモゾロミドはオーソライズド・ジェネリック?


 今回、承認されたのは日本化薬のテモゾロミド錠20mg・100mg「NK」のみでした。しかし、以下の理由から、テモゾロミド錠20mg・100mg「NK」はテモダール®カプセル20mg・100mgのオーソライズド・ジェネリック(AG)に該当しないと考えられます。

1.製剤設計

テモダール®カプセル20mg・100mgがカプセル剤であるのに対し、テモゾロミド錠20mg・100mg「NK」は錠剤であり、剤形が異なります。もちろん配合ざれている添加剤も異なります。

2.生物学的同等性試験(BE試験)

AGの場合、先発品のデータを活用し、BE試験を行わないケースが多いですが、テモゾロミド錠20mg・100mg「NK」の添付文書を確認したところ、カプセル剤を標準製剤としてBE試験が行われていました。

3.日本化薬の発表

 日本化薬の発表によれば、通常のジェネリックのようです。


なぜ日本化薬1社なのか?


 承認されたのが日本化薬1社だった要因として、以下のものが考えられます。

1.BE試験のハードル

通常、BE試験は健康成人男性で行われますが、抗がん剤のように副作用の恐れがある薬ではそうはいきません。テモゾロミドでは、悪性神経膠腫患者でBE試験が行われています。


2.承認条件のハードル


 承認条件として、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間、全症例を対象に使用成績調査を実施することが求められています。

3.製造所のハードル


 薬理活性の高い化合物の製造所は、封じ込めや洗浄等、通常よりも特殊な設備が必要。


4.売上


 Webで検索してみましたが、テモダール®カプセルの細かい金額は分かりませんでした。ただ、100億円を超える製品ではないようです。上記のようなハードルがある割に売上が小さいと思われます。

 次回はトラセミドについて分析します。

0 件のコメント:

コメントを投稿